坂口安吾が面白い

 今年のお盆休み(とっくに過ぎてしまいましたが)に読もうと準備していたのが、坂口安吾の歴史三部作。とはいえ、部屋の片付けと酒のために読書は進まず、今頃になって読み出しています。歴史三部作というのは一般に通用する表現かどうか未確認ですが、手元の文庫本にはそのように明記され、『安吾史譚』『安吾新日本地理』『安吾新日本風土記』を指します。私の手元にあるのは河出文庫のもの、それぞれ初版が1988年2月4日、同5月2日、同11月4日となっており、まだ昭和であったわけです。ところが、遅い読者の私にとっては古本でしか手に入らず、amazonで購入した値段というのが、『安吾史譚』定価440円→1500円、『安吾新日本地理』定価580円→2500円、『安吾新日本風土記』定価480円→2100円と、結構な買い物になったのですね。なぜ今頃安吾かというと、先月読んだ川村湊『牛頭天王と蘇民将来伝説——消された異神たち』の影響なのです。京都の祇園祭に学生を連れて行くため、牛頭天王について少し調べていたのですが、この川村さんの著書がたいそう面白く、そこに引用されていた安吾の伊勢神宮について書いたエッセイが読みたくなって、今回の中古文庫購入となった次第。本来なら、そろそろ紀要原稿に手を付けねばならないのですが、なかなかねぇ・・・。

 以前であればちょっとしたアンケートなどに「好きな作家は?」などと聞かれると、「北原白秋と坂口安吾」などと答えるほど、私にとっては安吾は身近な存在のつもりでした。ところが、『堕落論』や『白痴』などを高校生の頃の濫読時代に読み散らしただけで、他の作品はほとんど読んでいなかったのです。ただただ、無頼派の一人として、格好良く思えたのでした。しかし、上記三部作というのは日本の古代史について非常に面白い見解を、現代(戦後日本社会)を歩きながらわかりやすく記述され、まさに司馬遼太郎の先駆け的存在なのですね。今日は職場は臨時休業、ひたすら読書を楽しみます。これについては、いずれきちんと書かねばなりません。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.