談春、三三、初体験

これから落語会

 一度は生で聴いてみたいと思っていた立川談春、きっかけは書店で彼の著書を手に取ったことですが、その後談志との親子会の様子を収録したDVDを購入し、これは何としても聴いてみたいと思ったのです。そのDVDの中にちらっとだけ出演していたのが柳家三三、こちらはほんの短いコメントに噺家としてのセンスを感じ取った次第。その二人が出演する落語会が京都で開かれるとあっては、これは捨ててはおけません。情報をゲットするのが遅かったのですが、何とか補助席の最後2枚をゲットして昨晩の会に出かけてきました。結果的には大正解、いや、大盛会、もう少し時間をあげたかったのが正直なところ。今後は、もう少しこまめに落語会情報を押さえていきたいと思います。

 京都府立文化芸術会館開館40周年記念「東西落語競演会」と銘打たれた昨晩の会、番組は次の通り。

子ほめ(桂二乗)
何度も聴いていますが、いつも小言を言いたくなる二乗君、昨晩はいい出来でした。何しろ落語以外に記念対談もあって進行が厳しいところ。前座に与えられた枠をきっちりと守り、余計なくすぐりなど一切無く時間通りに演じきって終えました、いつもこうならいいのにね(15分)。
五目講釈(柳家三三)
この噺は初めて聴きました。勘当された若旦那が「じゅっかいの身の上」という例の設定ですが、長屋の連中相手に素人講釈をはじめるというモノ。はじめは赤穂義士の話から入って、だんだんといろんな要素が入り交じり、世相ネタなどを入れるくだりは演者の工夫のしどころ。静かに気負い無く入ってくるマクラはいかにも江戸前、いきなり声を張り上げる前座の次に登場したこともあって、力の違いが歴然。関西での独演会も行っているとかで、今後が楽しみな方です(20分)。
はてなの茶碗(桂米二)
素人舞子のマクラからすぐに本題に入って、京都人のいやらしさを京都人が演じる楽しさを表現。この方の凄いところは、その日の自分の役所をけっして逸脱しないこと。前後の流れを乱さず、客にも満足させながら、ゲストと兄弟子をつなぎます。渋く演じて25分。
住吉駕籠(桂南光)
「京の米二に浪速の南光」、いやぁ、いかにも大阪の噺家らしくなりました。何と言いますか、顔のアクが一段とすごみを増したように感じます。ネタはおなじみのものですが、夫婦者が篭屋をなぶるところ、女房の下りをカットしたのでサゲはどうするのかと気になっていたのですが、やはりサゲ前で降りましたね。プログラム全体の構成から考えれば、多分割り当ては30分かと思ったのですが、27分で降りました。
中入り
私はいつも各演者のはなした時間をメモするのですが、今夜みんな凄いです。きっちりと割り当て時間を守ってさすがプロ。女性トイレの並び具合をチェックして、15分で予定通りに後半開始。
粗忽の使者(立川談春)
私の席は一階の最後部、遠目で観ると元NHKアナウンサーの堀尾正明そっくり。マクラをどうするかと注目していたのですが、談志の話に入ると時間をとってしまうのがわかっているので、あっさりと本題に。このネタは江戸では武士ですが、上方では丁稚がその役回り(月並丁稚)、春団治の得意ネタです。もっとも、話としては江戸の方が綺麗でサゲもよい。しかし、艶のある噺家さんですね、何とか関西での公演をつかまえてじっくりと聴きたいと思います(23分)。
記念対談
普通この手のものは中入り明けに設定して、トリは噺にするものですが、米朝さんの体力を考えれば仕方なし。出演は茂山千之丞・丸石やすし、桂米朝・米團治、進行が桂南光。文芸会館での想い出を語るという設定ですが、千之丞さんの元気な声に比べて、米朝の衰えは寂しい限り。米團治がしきりに文芸会館を持ち上げようとするのですが、南光さんがあまり乗らないところのみが面白い。あまり聴くべき処もなしに19分。

 落語の記事になるといろいろ言いたいこともあり、もう少し調べないといけないこともあり、ついつい長くなってしまいます。やはり、料理もそうですが、一つのブログにあれやこれや詰め込むというのは問題ありですね。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.