卒業

 卒業というと、まず想い出すのはダスティン・ホフマン主演の映画、主題歌を歌ったSimon & Garfunkelはこれで一気にスターになったのでした。この映画のラストシーン、若い二人が大きな決断をして飛び乗ったバスの中、最後のエレーンの不安げな表情は大変印象的でした。それはそれとして、私立大学はすでに授業は終了し、学生達は春休みに入っています。4年生にとっては間もなく社会人となるわけですが、その前には卒業が確定せねばなりません。私の職場では、昨日「卒業判定」の会議がありました。各教員から提出された成績を教務がまとめ、各学生の卒業要件をチェックするのです。提出された資料を基に教授会で検討するのですが、私のゼミ生の一人が残念ながら「卒業不可」となりました。簡単に言えば「単位不足」であるわけですが、留学生である彼女にとっては厳しい結果となります。本来ならば、週明けに学生の自宅へ成績表が郵送されて初めて結果を知るわけですが、急きょ呼び出して面談しました。スポーツの得意な彼女はすでに某企業チームへの入社が内定していましたが、大きくその進路を変更せざるを得ません。サポートしてくれた監督・コーチ、そして海外にいる保護者と至急相談するように言い含めたのですが、週明けにどのような決断を持ってくるのか、とても気がかりです。

 個人的なことで言えば、私は7年かけて大学を卒業しました。大学には行くが授業には出ない学生でしたから、当然単位取得は無理、とりあえず卒業だけはしておかねばと、最後の7年目は単位を揃えるのにずいぶんと苦労したものでした。その間何をしていたかというと、子育てや親の介護、塾や予備校の講師などけっこう忙しい日々ではあったのです。しかし、子どもがある程度大きくなると「きちんと勉強したい」という思いが強くなり、大学院に進学したのは20代最後の年でした。その後はストレートに5年間で修士・博士課程を修了し、ろくに論文も書かず業績もないのに常勤講師の口を得るという「瞬間芸的離れ業」で就職したのでした。とまぁ、入学・進学・就職というのも色んなケースがあって人それぞれであるということを、留学生の彼女に理解しろとは言いませんが、少し長いスパンで自分の人生を考えてほしいものです。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.