桂塩鯛襲名披露公演@南座

 昨年8月6日に始まった四代目桂塩鯛襲名披露公演、そのうち上げが本日京都南座で昼夜の二回興行として行われます。昼の部のチケットを取っていたのですが場所は三階の一番後、二席並んだ角の席で出入りが楽なので助かりました。上から一階を見下ろすと、花街の綺麗どころやお姉さん方が目立つ客席はほぼ満席。中入り後の口上では無礼講の爆笑続き、なかなか楽しませていただきました。本人も半年経ってようやく名前に馴染んできたとのこと、体調管理に気をつけられて、より一層の精進をお願いしたいものです。

 今日の番組は、次の通り。

子ほめ(桂米紫)
塩鯛さんの一番弟子、上手ではありますが元気すぎて、私はちょっとひいてしまいます。コンパクトにまとめて、13分。
七段目(桂米團治)
この人の顔は、芝居の要素が入る噺にはあいますね。細かく言えば、父親の表現がついつい軽くなってしまいがちですが、それでも本人は多分自信のあるネタなのでしょう、事実、彼の人にあった噺です。歌舞伎の話題も取り入れながら、短時間ですが十分に沸かせていました、16分。
長短(柳家花緑)
祖父である五代目柳家小さんの話題で枕を膨らませていましたが、このネタこそ五代目小さんの名演が浮かびます(もっとも、生で聴いたことはありませんが)。せっかちとノンビリの友達二人のやりとり、小品ではありますが、何度聴いても飽きない噺。もちろん、小さんと比べようなどありませんが、十分に花緑流、自家薬籠中のネタにしていますね、20分。
道具屋(笑福亭仁鶴)
仁鶴の全盛期を知るものとしては、ここ20年くらいの仁鶴は聴くのが辛い状態が続いていました。久しぶりに聴いたのですが、爆笑を取っていたかつての高座とは別の、枯れた味わいが出てきて結構面白い、20分。
中入り
口上
なんと言っても襲名興行の楽しみは口上、今日は桂米團治の司会で、桂ざこば・柳家花緑・桂雀々・桂米二・桂南光・笑福亭仁鶴の順。最初のざこばさんが、自分の口上の中で塩鯛さんの弟子三名を紹介し米紫・鯛蔵・小鯛が一言ずつの挨拶。締めは仁鶴の音頭で一本締め、見事な時間配分で25分。
四方山話(桂ざこば
もたれの役割ということで、塩鯛さんの弟子時代のエピソードで彼の人柄を紹介し、早めにおりました。その前の口上でも師匠と弟子の関係に言及していましたが、弟子を取ることで師匠自身が一人前になっていくという見本のような師弟関係。それを、一席の噺に仕立て上げている所は、やはりざこばさんの力です、13分。
試し酒(桂塩鯛)
ざこばさんが降りてからお茶子さんの登場までずいぶんと時間が空いたのですが、恐らく口上前に片付けた見台の所在が分からなかったのではと、勝手な邪推。なんと花道から登場した塩鯛さん、やはり地元京都の晴れ舞台ということで本人も興奮気味、なかなか噺に入りにくい様子。結局酒の噺になりましたが、このネタもやはり小さんの名演が記憶に新しい所。塩鯛さん、五升の酒を飲む間に奉公人らしからぬ教養と見識を披露する所、なにやら禅味をも感じさせるいい演出でした、33分。

投稿者: myon

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