お盆は文楽

 例年、お盆休みには普段なかなか集中して読めないような大部の書籍を読むことにしています。今年は孤独なボウリング−米国コミュニティの崩壊と再生という700頁近い翻訳書を読むつもりだったのです(コミュニティは私の専門分野と深く関わっています)が、結果的には仏果を得ず文楽の家を読了しました。「仏果を得ず」は三浦しをんさんの作品で2007年11月25日に第一刷が出て、2011年5月11日の第五刷のものを購入しました。7月下旬に国立文楽劇場に赴いた際、その公演の記事をどなたかのブログで拝見し、そこに紹介されていた本書を早速取り寄せたのです。最近文庫本が出たようですが、発注時にはamazonでは品切れ、待てない私は単行本を購入したのです。いやぁ、面白い!夢中になって読み進み、3日間で2度読み直しました。その後、“竹本綱大夫改め九代竹本源大夫、鶴澤清二郎改め二代鶴澤藤蔵襲名記念出版”と帯にかかれた四代にわたる「文楽の家」を読了。お盆休みは、すっかり文楽漬けとなったのでした。

 同僚である藤十郎氏は、雑誌「上方芸能」の文楽評の担当者として、またご自身の文楽と聴覚障害に生きるというブログによっても、文楽を愛好される方には有名な存在。彼と同じ職場でご縁を得たことで、私も文楽の入口まで来ることが出来ました。ただ、直感としては「近寄ったらあかん」というのが第一印象。私の趣味である落語と同じように、いやそれ以上に引き込まれる危険性を感じたのです。それこそ「60過ぎてから余裕があれば・・・」と考えてはいたのですが、久しぶりに訪れた7月末の文楽劇場はやはり楽しゅうございました。その後出会った三浦しをんさんの作品、帯には「好きが過ぎるとバカになる。でもそんなバカならなってみたい。文楽に賭ける若手大夫の熱い青春。直木賞作家が愛を込めて語ります」と。恥ずかしながら、著者が直木賞作家であることも知らず、他の作品も読んだことはないのですが、この一冊ですっかり三浦ファンになりました。本書の帯の続きには、「本を読んだら劇場へ!」、劇場帰りに出会った本ですが、読後にはやはり秋の公演に出向こうと思ったことでした。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.