立川談春独演会(2012年10月27日)

 立川談春師、近頃は関西公演に力を入れておられますね。京都はというと、昨年4月に二日間開催された時に聴いています。小遣いにも時間にも(あまり)余裕のない身としては、落語会で3000円を超えるチケットは正直厳しい。今回は3000円と言うことと京都市内ということでチケット入手、会場の府民ホール・アルティは京都御所の西隣、拙宅から車で15分で御所の駐車場に着きました。場内は二階の両サイドの席が空いてはいましたが、9割近い入り。可動式の椅子は奥行きがなくて少し硬いのですが、4列目上手の席。14時6分に始まって仲入り入れて終演が16時20分、さほど疲れることなく噺に集中できて誠に結構な会でした。実は来年2月24日(日)に今回の会場直ぐ近くの護王神社で弟弟子の立川志らく独演会が開催されるのですが、最初と最後でその話題に触れていました。昨年の師匠・談志の死以来、盛んに発言する志らくと沈黙する談春との間がいろいろと取りざたされていましたが、「チラシがあるのならまけばよかったのに」と。本当のところはわかりませんが、あえて話題にすることで弟弟子へのエールと受け止めておきました。ちなみに、来春の志らく独演会チケットは予約済、これで晴れて立川流四天王をすべて生で聴くことができます。

 今回の番組は次の通り。

かぼちゃ屋(談春)
いきなりのご本人登場、「前座なしで3席やります」に場内大喝采。上方の「みかん」を「かぼちゃ」に置き換えた噺、いわゆる前座話ですがやはり実力者が演じると爆笑ネタになります。与太郎を愛すべき存在としてみなが放っておけない、仕事を世話する叔父だけではなく長屋の独り者が荷を売りさばくやりとりまで、全編通してほのぼのかつ可笑しい。与太郎をあまり「馬鹿者」にしてしまうといやらしくなってしまうのですが、今回は観客の側までも自然と微笑んでしまうような造形。誠に心地いい27分。
死神(談春)
1席目を終えてお辞儀、そのまま下がらずに2席目へ。「神様」の話題になったのでいくつか頭の中で思い巡らしたのですが、何と「死神」を聴くことができました。圓朝作としてつとに有名、かつそのサゲをめぐっていろんな演者が工夫を凝らしてきた名作。しかし私にとっては生で聴いたのはなんと笑福亭鶴瓶のみ、第290回市民寄席で聴いています。マクラでこの噺のサゲをめぐって誰がどうしたという話題、これを散々ふってから本題へ、つまり独自のサゲを用意しているとの期待感をあおります。他の演者は「ロウソクの火」をどのように消すかに腐心してきたわけですが、今回はそこを過ぎてから噺の冒頭に戻ってのサゲ。もちろん詳細は記しませんが、「なるほど、考えたね」とにんまりして43分。
仲入り
明烏
この噺、私自身は8代目文楽の音源で何度も聞いていますが、存命の演者では生で聴いたことは(多分)ありません。それ故比較して聴くことができないのですが、かえって素直に楽しむことが出来ました。一夜明けて2人が若旦那の部屋へ入るシーン、例の甘納豆を食べる件でモノの食べ方について少し入れ事がありましたが、個人的には余計なこと。マクラならともかく、噺の終盤で余計なことをするのは感心できません。普通に演じきって気持ちよく終えて欲しかったなぁ、44分。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.