第三回桂米二一門会(京都文芸会館)

 京の噺家・桂米二さんの一門会、第一回は2012年1月29日、第二回が2012年5月6日、そして本日が三回目。一門とはいえ弟子二人、師匠の配慮(叱咤?)でこれだけ頻回に出番を与えていただけるのは大変有り難い。二乗・二葉のお二人も十分その意義を感じて(?)、毎回熱心に取り組んでおられます。とくに二乗君にとっては、他の会ではなかなかかけられないような大ネタにチャレンジできる絶好の機会。今回もいつにも増して満員大入り、「二葉ちゃん見たさ」の客が多いことは否めませんが、入門10年の節目の年、二乗君の飛躍に期待したいですね。

子ほめ(二葉
二葉ちゃんの第一回目が「東の旅発端(15分)」、二回目は「動物園(19分)」、そして本日の「子ほめ」と上方の前座としてはオーソドックスな流れ。決して器用ではないけれど、教わったとおりの言い回しで着実に「落語」らしくなってきていると思います。一は全に通ず、師匠から教わったことを忠実になぞりながら「型」の吸収に励んで貰いたいですね(22分)。
寄合酒(米二
この噺は時間調整に融通が利くので、寄席の出番などでは重宝しますね。関西の場合はネタ出しの会が多いのですが、それとても当日の事情にあわせて伸縮自在に対応可能。個人的には、小さい頃から三代目春団治のものをよく聴いてきました。男ばかりで鮭肴の段取りをするてんやわんや、台所の調理器具や調理法などにも時代が反映されていて風俗落語としても貴重。鯛の鱗をふく場面、鱗が顔に張り付くところは大半の若い方には分からないかも知れませんね。楽しく聴かせていただきました(34分)。
ろくろ首(二乗
マクラで自身の結婚の話題に触れていましたが、プログラムには「昨日末に所帯を持つ」とあるあたり、だいぶ噺家らしくなってきました。この噺の一つの聴かせ処は、足の裏に結びつけたこよりにネコがじゃれつく場面。挨拶の言葉三つをランダムに叫ぶわけですが・・・、ここの間がイマイチでした。ゆっくりとしたテンポでも十分に笑いがとれると思うのですが・・・(22分)。
除夜の雪(米二)
私自身が寺の生まれで(得度はしていませんが)、馴染みやすく好きな噺です。「静かなものは寺の正月」という言葉の通り大晦日は大忙しですが、明けてしまうとのんびりします。よく11月、12月あたりの会でかけられますが、やはりこの寒の時期に聴く方が話の背景と気象が一致してリアリティがありますね。夜の雪や月明かりの描写などの叙景的要素と伏見屋の内情を説明する叙情的要素の両面を含み、短いけれどある程度の貫禄がないとやれないだろうし、聴きづらい噺。残念ながら、満席の和室でお尻が痛くなって聴く側が集中力を欠いてしまいました(27分)。
仲入り
満員かつ前から三列目ということで、トイレを諦めてその場で軽くストレッチ。それでも「後の方は重なって聴いたはります」との声を聞いて、やはり開場前に並んで正解でした。
景清(二乗)
京都を舞台に、観音信仰・源平の戦い・芝居の要素と、ある程度時代背景・文化的要素の理解なしにはできない大ネタですね。トリでこれをやれるところが一門会のありがたさ、まずは客の前で演じたことを第一に評価したいと思います、内容的にはまだまだこれから勉強していただかないといけませんが。とくに、定次郎の開眼シーン、一番盛り上がる場面がいともあっさりと終わってしまいました。一席目もそうですが、肝心の部分が落ち着きなくさらっと流れてしまってはそれまでの運びが台無し。くどいですが一門会かつ温かいお客さんばかりなのですから、堂々と胸を張って演じていただきたい(34分)。

 さて、第四回は五月の連休中に決定、この会だけは休まずに通うつもりです。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.