第225回上方落語勉強会

[flickr id=”9405423930″ thumbnail=”thumbnail” overlay=”true” size=”large_1600″ group=”” align=”left”] この回は、落語作家・小佐田定雄さんが提供する新作落語に当日の客が題をつける「お題の名づけ親はあなたです」という企画が売り物、今回指名されたのは桂塩鯛さん。しかし、それ以上にトリで吉坊が「深山隠れ」を演じるとあって、早くから友の会割引でチケットを準備していました。生で聴いたことのない私にとっては幻のネタ、期待に違わぬ好演で大満足、他の出演者には申し訳ないのですが、この一席だけで十分という会となりました。それにしても、よく入っていました。いつもなら、最初は座布団の間隔をそれなりにとっているのですが、今回は最初からきっちりとした敷き方。吉坊効果かな?

煮売り屋(桂二葉
すっかり「たたき」が板に付いた二葉ちゃん、今日は小拍子を一本ずつ左右に持つという演出。私は初めてみたのですが、後の扇子の使い方との兼ね合いなのでしょうか、面白いと思いました。数カ所詰まるところもありましたが、ホームグラウンド故慌てることなく最後まで(15分)。
松竹梅(笑福亭松五
笑福亭松枝さんの一番弟子、2003年6月6日の入門ですから丸10年。本人曰く「半端ないアウェー感」、確かにずいぶんと緊張されていましたね。そのせいか、何度も胸に手をやって襟を直す仕草が気になりました。噺は、若い者三人が婚礼の席に招かれ余興でしくじるというもの。短い噺ではありますが、三人の描き分けを工夫すればメリハリが出てより面白くなるでしょうね(21分)。
やるまいぞ(桂塩鯛
台本をいただいてから日が浅いのでさっきまで覚えていたと、登場するなり言い訳が始まりました。いつもならどっしりと落ち着いた高座姿ですが、その落ち着きのなさが笑いを誘います。噺は、「何でも屋」の看板を上げていながら何も出来ない男が、大家の代わりに店賃の催促に行き、そこで・・・。実は、このタイトルは後で選ばれたものですが、オチを直接使用しています。本来御法度ですが、今回ばかりはしかたないのでしょうね(24分)。
仲入
宿替え(桂米二
この噺は何と言っても枝雀の十八番、他の演者はやりにくいでしょうね、米二さんで聴くのは初めてかな。アホが長屋の壁に打った釘の出た先が隣家の「阿弥陀はんのまたぐら」、この演出はいただけませんね。神仏を扱うときには多様な聴き手を想定して慎重な配慮をすべき、それは庶民感覚の落語であっても同じ事。興ざめして、残念でした(25分)。
名づけ(桂塩鯛)
この企画では5回目という塩鯛さん、相当焦っていたのか、先ほどの高座では名付けの投票の仕組みを説明せずに降りてしまいました。この噺、多分作者はオチを先に思いついて構成したのでしょう。言い換えれば、話の展開から題をつけるというのが難しい。それもあって、オチを題として採用せざるを得なくなりました。ちなみに、今回私は投票できず。
深山隠れ(桂吉坊
吉坊を生で聴くのは久しぶり、Twitterによればまさに東奔西走。吉朝一門の米朝宅への中元挨拶のマクラで始まり、一門ネタで笑いをとってから本編へ。この噺は、いかにも故・吉朝の好きそうな芝居がかった場面転換が豊富、そこは古典芸能通の吉坊のこと、見事な台詞と所作で楽しませてくれます。深山に巣くう盗賊一味と庄屋の次男坊の対決、設定自体が非日常ですから思い切り遊べばいい噺。鳴り物も豊富に入って、実に楽しいパフォーマンスでした(45分)。

 朝起きてこの記事を書く前に、Twitterで松喬師の訃報。残念ですね、合掌。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.