らくご博物館vol.34

らくご博物館vol.34
らくご博物館vol.34

 京都国立博物館講堂で開催される落語会、以前は毎回通っていたのですが、工事の関係で向かいのホテルに場所を移してから足が遠のきました。最後に伺ったのが2009年10月23日のvol.23、やはりホテルのフラットな空間に椅子を詰め込んだ会場では落語を楽しむのは困難。あれから4年半、今秋のリニューアルオープンに向けて準備中の新館講堂での開催とあって、早めにチケット準備。お天気が良く風が気持ちいい夕刻の博物館の庭で軽く腹ごしらえ、会場に入るとすっかり新しくなった講堂、座席数は余り変わらないと思うのですが、とにかく椅子の大きさと前後の間隔が素晴らしい。博物館だけあってイスにメモを取る小テーブルも備えてあり、大変快適な空間となりました。出演メンバーも良くて、3100円という料金設定にも納得できますね。次回は10月31日のスペシャルバージョン、メンバーはまだ発表されていませんがこちらも見逃せません。

阿弥陀池(桂二乗
例によって「二条に住んでいる二乗」というマクラで客席から大きな笑い声、ちょっとどうなのと思うほどよく笑うのは高齢者が多い証拠。あまり、噺家を甘やかせてはいけませんな。さすがにやり慣れた噺だけあっていいテンポ、一箇所言い間違いはありましたが時間通りきっちりとサゲまで。あとは、トリの文之助さんのような本来の意味でのマクラが出来るようになればいいのですが・・・。下げた後は舞台番を努めてくれました、ご苦労様(19分)。
肝つぶし(桂しん吉
故・吉朝の4番弟子、若い若いと思っていましたがもう17年目になるのですね。小顔で目が鋭く噺家としてはちょっとそんなタイプ、口の動きが小さいので時として聞き取りにくい場面も。この噺は病気の友人を助けるために、兄が「年月揃うた」妹の生き肝をとろうとするもの。残念ながら病人がちっとも病人らしくない、つまり普通の友人二人の掛け合いのようで事態の深刻さが感じられません。前半で十分に緊張させておかねば、最後のサゲがあまり効かないのですが・・・、マクラも含めてもう少し勉強して欲しいですね(22分)。
宿題(笑福亭銀瓶
いつまでも若々しい銀瓶君、気がつけば25年を超えるキャリア。この人の高座はキレがあって気持ちいい、好きな噺家の一人です。このネタは三枝作ですが、関西のいろんな人が取り組んでいます。私の聴いている中では、やはり銀瓶君が秀逸。この会はネタ出しされていないのですが、楽屋で演者たちの相談もないのでしょうか。というのも、マクラで泥棒の話題が出たとき、「一文笛か?」と思ったものですから(25分)。
中入り
蛸芝居(桂吉弥
このブログを書くために確認して気づいたのですが、吉弥君に二人目のお弟子さんが入られたのですね。20年のキャリアで弟子二人は立派だと思います、弟子をとるということは師である自分自身の反省や励みの格好の鏡となりますから。今夜はハメモノたっぷりの蛸芝居、本人も楽しそう、客席も高齢の方が多いので芝居への理解も深くて結構でした。ただ、もう少し体重を絞った方がいいと思います、汗が凄いもの(23分)。
一文笛(桂文之助
雀松から文之助へ、だいぶ慣れてこられたでしょうか。この人のいいところは、お辞儀をして頭を上げた瞬間から会場を自分のペースに巻き込めるところ。ちょこっとしたフレーズが可愛く、いっきに引き込まれていくのです。マクラで「二つの坊」の紹介、もちろんかつては「三坊」といっていましたが、聴覚障害者への配慮ということで近頃はこのような表現に。定型マクラから自然な流れで一文笛に、もちろん大師匠・米朝作であることはあまりにも有名なネタ。しかし、演者自身に個性がありますから、米朝の型を崩さずにほぼ原型のまま演じても「文之助落語」となるのです。「自家薬籠中の物」という表現がぴったりの安定感、大満足のトリでありました。願わくば・・・、早くお弟子さんとってくださいね(27分)。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.