桂枝雀の貧乏神

 このところ、週末の楽しみは早朝のNHK・かんさい想い出シアター、桂枝雀の3週目は「貧乏神」、昨晩帰宅が遅かったので携帯の目覚ましを5時にセットして、何とか観ることができました。小佐田定雄さんの作になるものですが、放送は平成7年と近年の映像。マクラでは例によって子ども時分の神戸空襲の避難風景、自宅の神さんが先に落ちてくるところから、噺に入っていきます。私はこのマクラは生でも聴いたことがあるのですが(たぶん、角座)、恐らくまだ小米のはず、いったいいつ本題に入るのかとハラハラするぐらい長くまた面白かったことを記憶しています(しかし、その時のネタが何であったのかは覚えていません)。枝雀さんの宗教観はそれはそれで面白いのですが、一時期はそれがマクラでしつこいくらい語るので、辟易することもありました。しかし、理詰めの神や仏ではなく、体験とともに語る彼の神は、まさに庶民の「神さん」として身近に感じられます。ましてこの噺はぱっとしない貧乏神と同居し、彼に養われるというもの。洗濯で日銭を稼ぐ貧乏神が、盥を抱えながら「綺麗な夕日やなぁ、明日も洗濯物がよく乾く」というシーン、本当に赤い夕焼けの光を感じて大好きな場面です。時代設定を気にすることなく、普通の人の内面にあるある種の普遍性に依拠した、いつまでも通用する佳作ですね。
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桂枝雀の池田の猪買い

 NHK大阪のかんさい想い出シアター先週の代書に続いて今朝は「池田の猪買い」、上方の北の旅の代表としてポピュラーな噺。初回放送日1981年3月21日とのことですから40代前半、映像的にもまだ髪の毛が残っていて若々しいですね。私が高校生の頃は笑福亭仁鶴の全盛時代、彼の猪買いは本当に大爆笑ネタでした。もちろん、落研の仲間でもみんなで仁鶴のマネなどしておりました。その頃枝雀さん(まだ小米時代ですが)がこのネタをやっておられたかどうか、あまり記憶にありません。放送後の解説で雀々さんからも「どの猪買いやろ?」との発言があったとおり、枝雀さんのネタは時間をおくとずいぶん変わってきます。今日の映像で見る限りは、2カ所ほど「おや?」というところがありましたが、全体としては熱演の枝雀ワールドでした。次週は「貧乏神」です。
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桂枝雀の代書

 桂枝雀の生誕70周年・没後10周年を記念して、昨晩NHKで「なにわの爆笑王 再び〜生誕70周年 桂枝雀の至芸〜」が放送されました。桂南光佐渡裕がVTRを見ながら対談、誠に結構なものでした。関連して、NHKが関西の落語ファンへのアンケートで選んだ「もう一度聞きたい枝雀落語ベスト3」が選ばれ、こちらはかんさい想い出シアターで3週連続で放映され、今朝は第1回の「代書」を観ました。こちらの番組は桂雀々がゲスト、彼の入門当時の様子を描いた1978年11月28日放送「近畿の話題」を織り込み、「代書」は1986年1月17日に放送されたもの。例の「せーねんがっぴ、を!」には分かっていても吹き出してしまいます。懐かしくも楽しい映像を堪能し、安心して二度寝したのであります。
 枝雀に関する本・DVDなどは、いつまでも枝雀をご覧ください。
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