第7回 桂雀々 独演会

 金曜日,1限目の授業の関係で7時前に自宅を出ました.週末に3コマの授業は堪えますが,明日は休みと言い聞かせて何とか持ちこたえました.16時10分に授業を終え,まだ残っている皆さんに申し訳ないと思いつつ,北千里から河原町,市バスに乗っての行く先は京都府立文化芸術会館,第7回桂雀々独演会へ行ってきました.近頃はこの種のイベントは必ずチケットを4枚予約,今回は職場の仕事の関係で同僚を誘うことが出来ず,ツレアイとその友人二人と一緒.予想以上のいい会で大満足,午後9時前に会場を出る頃には雷が鳴って激しい雨に,何とかタクシーを捕まえての行く先は久しぶりの蔵倉.楽しい金曜日の夜を過ごすことが出来ました.

 今日の番組は次の通り.

「平林」桂ちょうば
ざこばさんのお弟子さん.元ストリート・シンガーだけあって(?),声がよく通ります.少しマクラをいちびり過ぎた嫌いはありますが,この人は素直というか不器用に近い感じ,将来大きく伸びそうな気がします.このネタは字を読めない人がいることがあたりまえの時代,実際の時代背景など気にせずに,おおらかに演じれば,おおらかな笑いが帰ってきます.15分
「強情灸」桂こごろう
南光さんのお弟子さん,舞台に出た瞬間,若い頃の春蝶さんを思い出しました.それくらい,細い!すでに若手とは言えないほどのキャリア,十分に聞かせる実力をお持ちですね.あっさりと14分.
「地獄八景亡者戯」桂雀々
私が初めて生で「地獄」を聞いたのは,高校時代の角座で米朝さん.館内が笑いで大揺れであったことを覚えています.近年,多くの若手が積極的にチャレンジしているようですが,私にとっては生の「地獄」は35年ぶり?ストーリーはそのままに,自己流のくすぐりをどれほど入れられるかが勝負です.
三途の川の渡し船の中で渡し賃を徴収する場面,鬼の船頭が亡者の死因によって値段を決めていきます.大受けだったのが,「何で死んだんや?」「タマゴの黄身にあたって」「黄身?君?君の・・・」と言いつつ歌につなげていく場面.
「おまえは何で死んだんや?」「私は納豆を食べ過ぎて」「納豆食べすぎるなんて,そんな奴おるか?」「いやぁ,痩せようと思って・・・」例の「あるある大事典」の捏造騒ぎ,などなど.
結局,人物造形などと言うことよりも,駄洒落オンパレードといった作品ですから,時事ネタの処理の仕方がポイント.いやぁ,よく笑いました.
サゲは,「肛門が駄目になる」「それなら,後二人ひとを呑めばよい」.「いったい誰を?」「肛門を助けるのなら,助さんと格さん」.このサゲは初めて聞きました.十分に雀々ワールドを堪能させていただきました.68分
中入り
「一人酒盛」桂雀々
米朝さんも松鶴さんも,どちらも聞いています.個人的には大変好きな噺,独り者の引っ越しの片付けの所へ友人が訪問.歓迎するふりをしながら酒の段取りをさせて,最後は怒らせて帰らせる.話の展開は読まれてしまうので,最後まで聞かせるにはけっこう実力のいる噺です.「地獄」を終えてリラックスしたせいか,力の抜けた好演でした.あまり時間をかけずに,しかし確実に酔いが深まるプロセスを表現します.充分満足の30分.

 終了後外に出ると,激しい雷と雨.何とか止めたタクシーで向かった先は東洞院七条の「蔵倉」.「一人酒盛」の直後,今夜は日本酒(燗)でなくてはなりません.最初に瓶ビール一本を三人で(Wさんの友人は車のため帰られました)乾杯した後は,マスターお勧めの燗酒を堪能.そう言えば,独演会直後の場内,私は思わず「やっぱり日本酒やなぁ」.すぐ後ろの若い女性のグループ,「やっぱり日本酒はイヤやねぇ」.熱演の証明でもあります.いやぁ,いい夜でした. 😀

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.