「サザエさん」的コミュニティの法則

 鳥越皓之さんから、近著『「サザエさん」的コミュニティの法則』をお送りいただきました。鳥越さんは現在早稲田大学にお勤めで環境社会学の大家ですが、近年は地域政策・計画の分野でも積極的に発言・行動されています。ここ数年、ほとんど学会にも参加していない私などはご無沙汰しっぱなしではありますが、「たまには本も読んで、ちゃんと勉強せなあかんよぉ」と叱られているわけですね。 😉  大変読みやすく、よく書かれた本だと思います。ぜひリンクをクリックしてご購入ください。 😛

 本書の概要は、

なぜ今、ちょっとした親切や信頼感、異世代交流の重要性が見直されているのか?
気楽な核家族を選びながらもジジ・ババのいる三世代同居に憧れるのはなぜ?
人を育て、幸せにする地域社会の法則は、サザエさん一家の暮らす町にヒントがあった。社会学、民俗学、文化人類学の実証的研究から、私たちの日々の根底に流れる人びとの「関係性」を読み解く。

 鳥越さんの年来の主張は『生活環境主義』という理論で整理されていますが、その立場からコミュニティの歴史的経緯とこれからのあり方を展望されたもの。ポイントは、サザエさんを例に挙げて、コミュニティを身近に感じさせる手法。私も高校の出前講義や、1年生の授業などでサザエさんは教材として利用します。というのも、高校生や大学生は、異文化には目を向けやすいのですが、身近な地域の問題にはなかなか関心を持ってくれません。そんな時、サザエさんを通して日本の文化を考えるのは、けっこう理解しやすいアプローチなのです。
 本書は、大学で学ぶ学問をこのように活かせばみんなが(というより自分自身が)幸せになれる、そんな気分にさせてくれる本です。例によって平易な語り口ですが、近年の研究成果などを広く取り入れて解説してくれますから、自治体関係者やまちづくりに関心のある人、そして何よりも学生たちに読んでほしいですね。次年度の地域社会学の教科書にしようかと思っています。ありがとうございました。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.