三三・吉弥ふたり会へ行ってきました

 柳家三三さんが関西で聴けるときは、なるべく行こうと思っています。天満天神繁昌亭での吉弥さんとのふたり会、今年の1月27日(木)28日(金)の興行時には28日に行っていますが、今回も二日連続の二日目。座席は2階の最後列、見上げる天井には寄進者の名を記した提灯が吊されていますが、ちょうど上岡龍太郎さんと佐川満男さんのお名前の下でした。この繁昌亭、交通の便もよくてけっこうなのですが、なぜこの座席なのか。毎度のことながら、あと5cm余裕を持っていてくれたらと本当に思います。膝が前の座席につかえるし、隣の人の太ももにもあたってしまうし、場合によっては噺に集中できないこともあって興ざめ。設計された方は、どのような計算をされたのだろうかと、ついついぼやいてしまいます。

狸賽(桂弥太郎
吉弥さんの一番弟子、一月の記事にも記したのですが、やはりイントネーションが気になりますね。語り口は素直と言うよりも個性的な味があって、将来が楽しみではあるのですが。先日笑福亭松喬さんのご本で入門当時の言葉の苦労を読んだばかりなので、なおさらのこと、今の時期の努力が大切かと、11分。
青菜(桂吉弥
いきなりNHKテレビの番組の裏話から入りましたが、私は嫌ですね。独演会やふたり会の場合には、当然のことながら彼を知っている客もしくはファンの方が大半と考えて当然ですが、だからといって、誰もが彼の出演しているテレビのことまで知っているわけではないのです。聞きようによっては、自分の売れ方を自慢しているようで(もちろんそうなのですが)興ざめです。プログラムには「お楽しみ」としてありましたが、夏らしく青菜。過日聞いた小三治の青菜では旦那と植木屋のコントラストが大変見事でしたが、さすがに小三治師と比べては申し訳ない。ただ、対比が十分でないので旦那が軽く見えてしまうのは辛いなぁ、24分。
抜け雀(柳家三三
小田原を舞台にした噺、ご自身も小田原の出身だとか。息子の絵師と宿屋の亭主、そして絵師の父親と宿屋の亭主、同じパターンの繰り返しで笑いをとります。上方では、亭主は二度目には硯に水を入れてくるというそつのなさを発揮したように思うのですが、それはともかく武士の登場する噺はやはり江戸の方がしっくりきますね。絵師の父親が宿の亭主に息子への伝言を依頼するのですが、それが無視されていたのはとちったのかどうか。しかし、口跡がよくて気持ちのいい噺家さんです、40分。
中入り
湯屋番(柳家三三
二席目、そして二日間の最後ということでいささか気持ちが緩んだのか、珍しく(?)個人口撃(笑)ここには書きませんが。もたれということで時間調整の楽な噺、その分余計な力が入らずに楽しい高座でした。若旦那が番台で石けんを「サービス」と言ってしまい、直後に自分で「古典落語にサービスなんて」とフォローしたのはミスか計算か。次は10月14日の独演会、幸いチケットとれたので楽しみです、21分。
天狗裁き(桂吉弥
夢の噺ですから、誰でもマクラはそこから入ります。なんと一門会で自分が吉朝を嗣ぐことになったという夢の話から入り、一門の力関係をネタにして大爆笑。そういえば、今秋は吉朝さんの七回忌、最後の高座は忘れられません。今夜のネタはストーリーがバレバレかつオチも見えているだけに、そこまで客を引っ張っていくのはなかなか技量のいる噺。今夜の吉弥さん、夢の最後に唇を突き出してまるでキスを求めるかの仕草を採用、それがオチにつながっていたのですが、私はこのような演出ははじめて。なるほど、噺の弱点をうまくフォローするやり方は結構、ただ、CDで聴いてもわからんわなぁ、25分。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.