米朝一門会(2013年1月2・3日)

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 正月にはやはり笑いで福の神を招き入れたいもの、昨年の場合は元日に吉弥さんの会、4日に天満天神繁昌亭での歌之助が遺したネタ達と2回出かけていました。今年はサンケイホールブリーゼでの米朝一門会、例年2日間にわたって開催されますが、私は3日(木)に行ってきました。開場5分前に着いたのですがホールには大勢の客、ほどなく三味線・鉦・太鼓で賑やかに(これはシコロと呼んでいいのか?)客を迎え入れ、私の座席は1階最後列、場内は満席どころか補助席も出る大入り。新春らしい華やぎの中で、まずは開演前にグッズ購入。米朝一門の系図手ぬぐいは数枚手元にありますがだいぶ古いもの、米二さんのお弟子さん・二葉ちゃんの名前が入ったものが欲しくて早速購入。その横には昨夏の桂米朝展で販売された資料集の新しいバージョンがあったのでそれも購入、嬉しい土産が出来ました。

 当日の番組は、次の通り。

ご挨拶
初日の挨拶については新聞報道されていましたが、最初に進行役のざこばさんが「元気な師匠がこの場に一緒に・・・」と号泣、つられた米朝師も涙を流したとか。この日は逆にボケの連発で、会場を沸かせていました。若い頃から聴いている私の世代には今の姿に寂しいものを感じますが、人前に出ていただけるだけでよしとせねばならないのかも。出演者それぞれから一言ずつ挨拶があって、締めは菊正宗の鏡開き、予定通りの15分。
手水回し(桂そうば
福岡出身、神戸大学卒業後ざこばさんに弟子入りして8年目、マクラで九州男児にとっての大阪弁の難しさを。例に挙げた「めばちこ」「さぶいぼ」、関西人からすればやはり微妙に違いますね。それはともかく、噺の方は声もよく出て仕草もわかりやすく、大変結構でした。まずは10年、教わった噺を素直に演じることに徹して欲しい。その意味で、先の楽しみな方という印象でした、15分。
ふぐ鍋(桂吉弥
元日・二日とMBSで放送された特番「あけまし亭」を見た直後だったので、全く同じマクラにちょっと違和感。しかも、先方の言葉とはいえ自分のことを「吉弥師匠」と呼ぶのはいかがなものか。この噺は師匠・故吉朝の十八番、吉弥さん自身も手慣れたネタで貫禄さえ感じます。途中で携帯電話が鳴ったのですが、それもちゃんとネタにしての余裕の高座。本編だけとれば、誠に結構な18分。
くっしゃみ講釈(桂米二
この二日間の公演については、出演者を見てこの日を選びました。もちろん、決め手は米二・塩鯛ご両人をを聴きたいから(ちなみに、前日は雀松・米團治)。吉弥さんが冬のネタだったので、正月に関係する噺かと思いきや、くっしゃみ講釈。好きな咄ではありますが、初春ということでもう少し季節感のある噺が聴きたかったなぁ。この方ははじけるタイプではないので、大きなホールではなく普段の文芸会館和室くらいの空間が似合いますね、月末の一門会に期待しましょう、23分。
厩火事(桂ざこば
メディアへの露出の中で固まったキャラクター、それを自分自身の噺にうまく取り入れた「ざこば落語」。枝雀存命中にはあまり評価しなかったのですが、いまや米朝一門の大黒柱、安心して聴くことができます。ネタ自体は前日のテレビでも見たのですが、飽きさせずに聴かせるのは芸の力。会場も大納得の21分。
中入
読書の時間(桂塩鯛
襲名後3年を経過し、弟子達もそれぞれに健闘している塩鯛一門。マクラで自身の短大講師の経験を披露してネタ入り、正直がっかり。三枝さんの手になるもので、私自身は初見。三枝作でも割烹の生け簀を泳ぐ鯛を扱ったものはよくできた噺でしたが、これはひどい。後で南光さんが揶揄していましたが、司馬さんを愚弄されているような嫌な気分になります、24分。
花見の仇討(桂南光
全体を通して、もう少し初春の雰囲気を出す工夫が欲しいですね。吉弥さんのふぐ鍋以外は、何故この時期にこの噺なのか、演者の都合と思えてしまいます。その意味では、少し早いですが桜のネタでしめるのは悪くはない。この噺は「らくご博物館」でちょうど春先に聴いたことがありますが、その時と比較すると、より南光色が強く出ているように感じます。ざこばさん同様、関西人なら誰もが知っているキャラクター、還暦も過ぎて「南光落語」は完成の域か、30分。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.