第四回桂米二一門会@文芸会館

[flickr id=”8709990950″ thumbnail=”thumbnail” overlay=”true” size=”large” group=”” align=”left”]  GWでも大型連休でもどちらでも構いませんが、私は今日が最後の休み、明日は仕事であります。その連休最後の楽しみは落語会、京の噺家・桂米二さんの一門会も数えて四回目。今回は二人の弟子が二席ずつ、師匠が一席という番組。二乗君はともかく、二葉ちゃんが二席というのは大丈夫かな、などと親父目線で楽しんでまいりました。会場はいつもの京都府立文化芸術会館、これもいつものように寺町丸太町上がった市営駐車場に車を止めて会場へ、到着後間もなく開場して今日の座席は前から二列目の左端。二度の膝送りする大入りは誠に結構、いい時間を過ごさせていただきました。

道具屋(桂二葉
一つの会で二席喋るのは初めてなのでしょう、加えてマクラを振ったのも(多分)初めてのことではないでしょうか。もちろん、師匠からの指示でしょうが、自身のスーパー青果部での就業体験から物売りとしての道具屋に繋げました。ともかく、会場はみな二葉ファンならぬ保護者的な気持ちの方が大半。巧拙など問題ではなく、何とか最後までやり遂げて欲しいと祈るような気持ち。かん高い若い女性の声ですが、それなりに人物のコントラストがついて描き分けも出来てきたように思います。入門して早三年目、とにかく修行が明けるまでは何も考えず(?)、師匠に教わったとおりに勤め上げて欲しいのです(20分)。
強情灸(桂二乗
こちらは入門して間もなく丸10年、結婚してそれなりの落ち着きは・・・ありませんね。これはこれで、彼のカラーなのでしょう。頼りなさそうに見えるのも、噺家の個性としては決してマイナス要素ばかりではありません。師匠がマメで理屈屋ですから、むしろそうではない違ったタイプであることは師弟ともにキャラが際立つということにも通じます。二人の男の対話で運ぶシンプルな構成の噺、本題に入ると人物対比も的確で結構な出来であったと思います(21分)。
牛ほめ(桂二葉)
一席目はマクラの振り方に神経を使いすぎていたようですが、ちょうど会場内の膝送りを願ったことで間をとって、それをマクラ代わりに本題へ。普請のほめ方の入りの部分で瞬間的に止まってしまいましたが、すぐに立ち直ったので一安心。若い女性の噺家が登場人物の複数の男性を演じ分けることに懐疑的な意見を聴くこともありますが、基本は対比の芸ですから、たとえ声が細かったりかん高かったりしたとしても、コントラストが鮮明であれば聴く側にさほど混乱はありません。ある程度数を聴いていることでひいき目もあるでしょうが、二葉ちゃん、このまま古典落語で勝負して欲しいと思います(23分)。
算段の平兵衛(桂米二)
他の多くの噺同様、米朝師のテキスト化の努力で再生したネタ、米二さんでは初めてかもしれません。算段の平兵衛という人物、私の年代の田舎育ちにはリアリティーがあります。日常の村づきあいのなかでも、ちょっと一目置かれるというか、みなから少し避けられるような存在。表立って世話を焼く議員タイプとは違うこのような存在は、かつての地域社会ではそれなりに必要とされたのですね。さすがに米朝直伝(多分)の芸、安心して楽しむことが出来ました(37分)。
仲入り
質屋蔵(桂二乗)
師匠を差し置いてトリをとる、やはり結構プレッシャーがあるのでしょうね。心なしか、表情が青ざめて見えるくらい。時間の都合もあってか、マクラなしにすぐ本題へ。近頃では質屋さんについてマクラで説明しないと通じないことが多いのですが、とくにサゲの「利上げ」という言葉は今回のプログラムに解説があるくらいのキーワード。幸い(?)、観客の年齢層が高いのでわざわざ説明する必要はなかったかも。決して悪い出来ではありません、ただ、安心して聴くことができないのですね。まだ10年なのか、すでに10年なのか。一席目と比べてネタの大きさに負けているのかな?ともかく、一門会ならではの大ネタでのトリ、今後の精進に期待しましょう(35分)。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.