立川談春独演会(2013年6月7日)

 時間とお金に余裕があればいくらでも聴きたい落語、時間はともかく小遣いに乏しい我が身としては、京都市内開催のものに限定しています。少し値がはるとは言え、立川談春独演会となれば行かざるを得ません。これまでの記録を見てみると、最初に聴いたのが2010年3月23日の東西落語競演会で「粗忽の使者」、この時は三三さんも初めて聴いたのでした。次が2011年4月29日の独演会、ネタは「棒鱈」「紺屋高尾」。三度目が2012年10月27日の独演会、ネタは「かぼちゃ屋」「死神」「明烏」。弟弟子の志らくはその著作で「志ん朝亡き後、その位置に着いたのが談春兄」と述べていますが、近頃は日本列島津々浦々まで独演会行脚。テレビにほとんど露出しない噺家が古典落語でこれだけ集客できるというのは、かなり驚いていい事実ですね。

鰻の幇間
連日夏を思わせる京都の暑さ、冒頭の幇間登場場面、扇子で頭を扇ぎながら暑さを強調する演出はさすが。テンポの良さ、口跡の明確さ、いつもながら登場人物の対比が鮮やかでとても聴きやすい。請求書が届いてからの終盤が聴き所、鰻屋でキムチ(韓国)・田鰻(中国)・タイ米、TPPと来たのには大笑い(57分)。
野ざらし
いったん下げた後、そのまま二席目へ。次週のテレビに登場するというマクラ、その番組中に堂本兄弟に教えたネタという入りで野ざらしへ。もちろん、時間の都合で向島で釣り客相手の大暴れで切りました。長講二席たっぷりという選択肢もありますが、演者にとっても短いネタをはさんで三席の方が、リズムが作りやすいのかも知れません。それにしても、サゲまで聴きたかったなぁ(21分)。
中入り
短命
終演近い時刻からの三席目、人情噺の選択はあり得ないのでどうするかと思いきや「短命」へ。テレビ収録では使えないような表現をはさんでハイテンションの展開、これまでの談春イメージとは随分異なる今夜の独演会でした。昨年聴いた「かぼちゃ屋」にも感動したのですが、滑稽噺でも十分に満足させる彼の力量には感服。いつもの談春を楽しみに来た客には戸惑いがあったかも知れませんが、私としてはこの人の芸の深さに満足の一夜でした(26分)。

投稿者: myon

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