懐かしの伊賀上野

 三重県伊賀市の某高校での出前授業(ただし,担当は私ではありません)を利用して,募集対象地域としての可能性を探ることと,ついでに(!)久しぶりにストークのタンシチューが食べたくなって,出かけてきました.前任校時代には三重県を北から南まで文字通り走り回っていましたが,さすがに近頃は伊賀へお邪魔する機会もなくなって,この前来たのは何時だったかも思い出せません.それでも,京都からJR奈良線・関西本線・近鉄伊賀線と乗り継いでの小旅行,風の冷たさには閉口しましたが,大変味わい深い一日となったのでした.

 郵便局と銀行で用事を済ませて京都駅に着いたのは午前10時,風は冷たく霙に近い雨が降っていました.今日の行程は,10時20分発「JRみやこ路快速・奈良行」に乗って木津に着いたのが10時56分,11時02分の「JR大和路快速」 で隣の加茂まで,そこから「JR関西本線・亀山行」が11時10分の発車で,伊賀上野着が11時47分,さらに近鉄に乗り継いで11時57分に上野市駅に着きました.
 奈良線に乗ったのもずいぶんと久しぶりのことですが,やはり沿線の宅地開発が進んでいて,木津に着くまでの線路沿いにはほとんど家ばかり,まるで「洗濯物を眺め続けた」ような気分です.ところが,関西本線の鈍行に乗り換えた途端,景色は一変します.木津川沿いに走るこの路線,対岸の国道はこれまで何度も走ってきましたが,鉄道は初めての体験.いやぁ,おもしろい!にわか鉄道マニアになってしまいそうなほど,司馬遼太郎や池波正太郎の作品で慣れ親しんだ地名,時代がかったトンネルや古い集落と住宅団地のコントラスト,たった一両のワンマン電車は満員でしたが,皆さん騒ぎっぱなしでした.
タンシチュー さて,今日のランチは伊賀市の「欧風料理ストーク」.家族で経営されている老舗の洋食屋さんですが,息子さんとは旧知の仲.とはいえ,私の風貌も以前とだいぶ変わったので,声をかけなければ果たして認知されたかどうか.お店は相変わらずご繁昌で,入れ替わり立ち替わり.私はといえば,席についてもメニューは見る必要はなく,「タンシチュー!」.何というか,奇をてらわずにオーソドックスな調理,淡々と,でも手を抜かずに丁寧な職人仕事.飽きの来ない味です.


オムライス 同行者が周囲を眺めてめざとく追加注文したのがこの「オムライス」.いやぁ,大正解!タマゴの焼き具合,なめらかさ,シンプルな味とソースとの相性,これはたまりません,以前の私はシチューを食べてから「カレーライス」を追加注文するのが定番でしたが,次回はこのオムライスをぜひメインに頂きたいと思います.


上野城 食後の散歩を兼ねて上野城公園へ.もちろん桜には早いのですが,だんじり会館でビデオによる伊賀上野の四季の学習,天守閣からの眺望を楽しみ,俳聖殿・忍者屋敷と回りました.先日の金沢の「忍者寺」では介入を許さぬ流れるような解説でしたが,こちらの忍者屋敷では我々の適度な突っ込みにあわせてくださり,いかにも関西風.その後,銀座通りで定番の「かた焼き」を土産に買って,近鉄で帰路へ.ちょっとした小旅行を楽しんで,充分満足の一日でした.もちろん,歴史的建造物も伝統文化の継承も,それはそれで十分に地域の魅力となるものです.それに加えて,ストークのようなお店がさりげなく存続しているところに,この町の「底力」を見る思いがします. 😀


投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.