昨年2月24日に開催された志らく師京都初の独演会、雪のちらつく寒い日でした。その日に既に1年後の開催が予告され、楽しみに出かけてきました。前回の会場は護王会館、今回はよりキャパの大きい京都芸術センター、最後部は空席がありましたがそれでも300強の入り。チラシにはすでに次回の案内があって2015年2月8日、すっかり定着しそうですね。「志らくの会京都事務局」のみなさん、本当にありがとうございます。
- 「饅頭怖い」(立川らく人)
- 昨年の開口一番もこの人でしたが、その際、噺以前に人前に出る格好ではないとの感想を記しました。今回は少しましになっていましたね。噺の方もさすがによくなっていましたが、「ふたばの豆餅」「麩嘉の麩饅頭」などと京都のこと勉強しましたとの入れごと。どうなんだろうな、開口一番なので受けようなどと言う考えは不要。むしろ、後の師匠のネタのさわりになるのではと、お父さん的には勝手に心配してしまいます(13分)。
- 「やかん」(立川志らく)
- 談志の想い出などのマクラを振った後、「やかん」をやるというので思わずニンマリ。というのも、談志の晩年よく聴いていますが、お弟子さんのは聴いたことがない。実際、志らく師によれば他には誰もやらないとのこと。物知りを自称するご隠居に、八五郎が言葉の意味を尋ねるという展開。どこでも切れる、どこまでもやれるという伸縮自在の便利なネタ、持ちネタにしておくと重宝するでしょうね。とは言え、師匠の強烈な個性がまだまだ記憶に残る場合、弟子としてやり辛いのも事実でしょう。ところどころ物まねを入れ、薬=ドラッグがオリジナルの(?)決め言葉としてサゲまで。ストーリー展開の必要がないので、聴く側も楽に聴けます(40分)。
- 仲入り
- 入手したチケットの整理番号が60番、割と早い目に入場できたのですが、会場前部はイスをぎっちりと敷き詰め、前列と後列をずらす配慮無し。これでは見にくかろうと、後部の一段高くなったブロックの最前列を選択、正解でした。高座の上に座布団が敷いてあって、その上で演じるという当たり前のことが視覚で確認できないと落ち着かないのです。
- 「子別れ」(立川志らく)
- ポスター・チラシには「子別れ(通し)」となっていたのですが、いざ始まってみると熊五郎が家へ帰ってくるところから。う〜む、これで「通し」と名乗っていいのかなぁ。多少の省略は仕方ないとしても、やはり「通し」と謳うからには「強飯の女郎買い」入れて欲しかったなぁ。いささか気分がそがれたので、噺に入りきれないままサゲへ。確かにこの人はマルチの才能があって落語もそつなくこなしますが、このような人情噺には向かない気がします。テンポが良すぎるために、ストーリー展開は巧みですが、人物造形には不利に働きます。加えて「玄翁」ではなく「金槌」、う〜む、納得できないままに会場を後にしたことでした(48分)。