文之助・塩鯛二人会

文之助・塩鯛二人会
文之助・塩鯛二人会

 桂文之助さんは1956年5月生まれで75年3月に枝雀師に入門、桂塩鯛さんは1955年2月生まれで77年1月にざこば師に入門。私自身も年齢が近いことから親近感を持つお二人の落語会、久しぶりにKBSホールへ出かけました。今日の京都は朝から異様な蒸し暑さ、お昼には強烈な雷雨、あまりの雨の激しさにトイレからゴボゴボと異音。どうやら、下水が悲鳴を上げている様子。案の定、会場へ向かう途中で数カ所パトカーが出て通行規制、下水のトラブルで道路が盛り上がっているところもありました。折しも今夜は五山送り火、果たして無事行われるのでしょうか?

ご挨拶(文之助・塩鯛)
近頃は、落語会の最初にこのようなトークコーナーを設けることが多いですね。個人的には邪魔ですね、まずは前座が会場を落ち着かせる仕事をきちんとすべき。存在理由がわからない、無駄な10分間。
「もぎ取り」(桂吉乃丞
故・吉朝に弟子入りしたのが2002年8月13日、3年後に師を失ったのですね。気の毒な反面、弟子一同の結束でよく頑張っていると思います。体つきから受ける印象としてごついのですが、下手に器用ぶらずに無骨なまま大きな声で演じる姿勢は評価できます。ただ、番組としてはやはり開口一番として登場して欲しい。何しろ、マクラが下手で聴くのが辛い(21分)。
「鶴亀捕物帖」(桂塩鯛)
小佐田定雄さんの作ですが、初めて聴きました。塩鯛さんは結構かけておられるようですが、私には合いません。捕物帖もしくは時代劇が好きな方が自分で楽しんでいるという印象で、聴き手のことを余り考えていないように受けとれるのです。もっといろんな方が色んな演じ方を工夫すればいいのかもしれませんが、退屈なだけでした(33分)。
「宇治の柴船」(桂文之助)
ネタ出しされていたのですが、私は生で聴いたことがなく、これを聴くためにチケットを購入したのです。いやぁ、良かった! 熊五郎が本家に呼ばれて若旦那の様子をうかがうところまでは崇徳院そのもの、その後の展開で宇治へ出養生、その先で惚れ込んだ女性に出会うが結末を夢とする展開。文之助さん、熊五郎と若旦那の掛け合いはテンポ良く、宇治の情景描写はしっとり鮮やか。絵で見た女性との出会いは芝居がかりとなるのですが、ここをくどくやるとぶちこわし、さらっと落語にもどす手際は鮮やか。いやぁ、いいものをみせていただきました、本日の秀逸(25分)。
仲入り
「星野屋」(桂文之助)
キャリアとしては文之助さんが兄貴分ですが、会場がKBSということで塩鯛さんのトリとなったのでしょう。お手かけさんとその母親の女性軍と、旦那と旦那に女性を世話した男の男性軍との駆け引き・騙しあい。演じ方によっては嫌な話になりかねませんが、雀松時代から「可愛い女性」の演じ方は折り紙付き、男性軍の狡さより女性軍の可愛らしさを前面に出して成功。演者の雰囲気が作品に好印象を加えた佳品となりました(23分)。
「ねずみ」(桂塩鯛)
左甚五郎ものはいくつかありますが、この噺は東西共にいろんな方が演じられます。不遇な境遇と健気な少年を強調すれば人情噺的になってしまいますが、個人的には好きではない。その点、今日の塩鯛さんは舞台を岡山に設定して「唯一知っている岡山弁」の「おいりゃあせんのう」を連発、子どもと甚五郎の掛け合いがおかしく、十分笑わせてくれました。やはり落語は落語でないと、と感じた次第です(34分)。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.