台風接近中、京都は雨が降り続いています(風はまだありません)。京都在住の噺家・桂米二さんの独演会に行ってきました。同行はharimayaさん、O君、ツレアイとその友人のWさん。O君にとっては生落語初体験、結構気に入っていただけたようでよかったです。会場は京都駅八条口のアバンティホール、昨年秋には米二さんの30周年記念の会が催された場所。終了後は、仕事に戻るharimayaさんと別れて、さらっと祇園祭を見学して阿吽坊へ。雨がひどくならないうちに帰宅しましたが、落語も食事も十分満足できた今夜でした。
今日の番組は次の通り。
- 手水廻し(桂雀五郎)
- 雀三郎さんの二番目のお弟子さん。事情があって(あとで書きますが)上がるなり、マクラもそこそこに本題へ。この話は下手をすると田舎を馬鹿にするようなことになりかねないので、「田舎風」の言葉を使うことが肝要であって、「どこかの方言」になってしまってはいけません。堅実にこなした12分。
- 動物園(桂米二)
- 後で聞いてわかったことなのですが、腕時計を持ち込んで時間を気にしながらの高座、こちらもマクラもろくに振らずに本題へ。適度にはしょりつつ、でもさほど不自然さを感じさせずに下げまで走って14分。
- 禁酒関所(桂きん枝)
- 問題の張本人はこの人、つまり、今夜の東京での落語会の仕事があったのに、京都での仕事も引き受けての綱渡り。しかも、台風の影響で新幹線が遅れていることもあって、ここまでの全員が駆け足できん枝さんの移動時間に協力したと言うことです。彼の高座を生で聞いた人は少ないと思いますが(私も2回目)、さすがにキャリアもあって、決して下手ではありません。ただ、咳が何度かあったのは体調のせいで仕方ないかもしれませんが、関所の役人の酔い方の展開は勉強の余地あり。32分。
- 親子茶屋(桂米二)
- 船場のさるご大家の若旦那、遊びがすぎて毎日親旦那に説教されます。ところがこの親旦那、店を一歩出ると息子以上の遊び人、折しも遊びの最中にそれと知らぬ若旦那=息子と同席することに・・・、という古典落語。聞き手の側の大半が「茶屋遊び」の実体験がないぶん、どうしてもステレオタイプのイメージしか描けません。わかりやすい展開と下げではありますが、共感の得にくい噺ではあります、35分。
- 中入
- 寝床(桂米二)
- 古典落語の中では大変ポピュラーな噺、それ故、演者の力量が見えやすいネタです。今夜の米二さん、素晴らしい出来だったと思います。親旦那が町内の店子を集めての浄瑠璃の会、聞かせたい親旦那と聞きたくない住人および使用人との説得と納得のやりとり。米朝師とも枝雀さんとも違う、親旦那の期待から失望へと変化する心理描写の丁寧さ、いやぁ、感服と感動の41分。
祇園祭は今夜が宵々々山、あいにくの雨でしたがそれでも土曜日、四条通はかなりの人出。幸い混雑がひどくなる前でしたから、傘をさしながらも長刀鉾、函谷鉾、月鉾といった先日の「鉾立て」を見学したところでは、祇園囃しの練習風景を見ることができました。
阿吽坊は台風の影響でキャンセルが何組かあったそうですが、さすがに祇園祭ということで、ひっきりなしの来客。「堀こたつ」の足にやさしい席を占めた我々4人、O君の南極ツアー体験と「炙り鱧」を肴に、美味しい酒をいただきました。 😛