12月7日(火)、念願の天満天神繁昌亭へ初めて行ってきました。阪急電車淡路駅で地下鉄堺筋線に乗り換えて南森町駅下車、日本一長い天神橋筋商店街のすぐ近く、いい場所にありますね。中に入ると、想像していたよりもだいぶこぢんまりとしていい大きさ、ただ、椅子はいただけませんね。座席は固いし前後の空間も狭い、建設時期からすればもう少しゆとりのある設計かと思ったのですが、やはり費用の関係か。冬場ということでみなさん厚着、和服姿の女性など席の出入りにだいぶ苦労されていました。二人会は三回目、ただし、都丸さんの襲名後は初めて。季節感あふれるネタにひかれてやってきたのですが、十分満足できる一夜でした。
- つる(桂小鯛)
- 都丸さんに入門して3年、この夏師匠の襲名にあわせて「とま都」から「小鯛」と改名。スリムな身体とキャリアにぴったりの名前ですね、ぜひ立派な真鯛へと成長してほしいものです。開口一番は「つる」、基本通りで好感持てました(15分)。
- 池田の猪買い(桂塩鯛)
- この記事を書こうとして初めて気づいたのですが、8月4日(水)の桂都丸独演会を記事にしていなかったのですね。都丸としての最後の会だけに、これを記録していないとは迂闊でした。そのときの印象で強く残っているのは、やたらと高座で身体を起こすことでした。そのときには、襲名前後で多忙を極めていることで体調がよくないのだろうと思っていたのですが、昨晩もやはり気になりました。癖であるとすればあまりよくないし、足の痛みということであれば、正直もう少し減量された方がいいと思います。猪買いを生で聴いたのは久しぶり、可もなく不可もなし(39分)。
- 除夜の雪(桂米二)
- 近頃は立川談春さんが持ちネタにされているので東京の方もよくご存じのこのネタ、寺で育った私などは親密感と違和感の両方感じるわけですが、好きな噺です。前半は大晦日の寺の庫裏での3人の修行僧の会話、後半は一転して怪談仕立て。冬の寒さや雪の情景の表現が特徴的で、かつ、船場の商家の内情と人情が絡まって小品ながら難しい噺。ただ、あまりにも下げが分かりづらい。米二さんは米朝師そのままでやっておられましたが、何とか工夫はないものか(29分)。
- 一人酒盛(桂塩鯛)
- 二席目に入ってだいぶ調子が出てきたのか、猪買いと比べて生き生きとした高座。引っ越し直後に訪ねてきた友人に、酒を馳走するといいながら全部段取りをやらせ、かつ、自分ですべて飲んでしまうという噺。松鶴も米朝も聴いていますが、塩鯛さんにはとてもお似合い。徳利と酒の消費ペースの表現が大変的確で、日本酒好きからすれば、思わず「わかる!」と唸ってしまいますね。本日の秀逸(30分)。
- 中入
- 初天神(桂米二)
- 昨年の(私の)誕生日に開かれた独演会でも聴いていますが、理屈言いの米二さんには、こまんしゃくれたこどもが似合いますね。師走の会ということで除夜の雪と初天神の二席、季節感に合わせたネタを選べる所が実力派の証明(33分)。
強いて分ければ「動の塩鯛・静の米二」、対照的な高座姿と語り口。「松鶴・米朝」とまでは言いませんが、いずれそのように評価されるよう、この二人会の継続と精進を願います。