噺家生活35年の桂米二独演会

マメさの証明

 昨日に続いて、今日も落語であります。京の噺家・桂米二さん、米朝師に入門してから35年、節目の年の独演会に行ってきました。アバンティホールが龍谷大学アバンティ響都ホールと名前を変えた昨年は休まれたので、前回は2009年11月5日のこと。その時は最前列で聞いていましたが、今日の席もやはり最前列、足が楽に動かせるので助かります。彼は私より3歳年下ですが、ほぼ同時代の落語状況を共有していますから、書かれたモノやマクラに登場する多様な話題はほぼ通じるわけで、ある意味一番安心して聴ける噺家さんでもあります。性格的にも似たところがあってとにかくマメ、写真のように自分の落語会では関連する情報を使用済みのチラシの裏に印刷して配布、メルマガ発行も含めての情報発信にはきわめて熱心。最近はTwitterも始められましたが、Facebookはどうなんやろ?

 今日の番組は次の通り。

みかん屋(桂雀五郎
雀三郎さんの二番目のお弟子さん、おとなしい風貌通りのおとなしい語り口。余計なマクラなしにすぐに本題へ、前座の役割に徹して誠に結構。このまんま、素直に伸びていただきたいですね、17分。
池田の猪買い(桂米二)
米二さんを偉いと思うのは、独演会では必ず三席かけること。今回は冬の噺と夏の噺、それに地元京都の噺とバラエティに富んだネタの構成。猪買いはきわめてオーソドックスな展開、ほとんど変えていないのかもしれませんが、そのあたりが実力の証。ちょっとウトウトしたのはごめんなさいの31分。
はてなの茶碗(桂米二)
関東の方にはぴんとこないかもしれませんが、大阪人と京都人の気質の違いを重要な要素とするこの噺は私の最も好きなモノの一つ。京都人の米二さんが、大阪人から見た京都人のいやらしさを表現しておもしろい。マクラは何年前に聞いたかわからない米朝譲りのモノ、このあたりも私にはニンマリとできる要因なのです、31分。
中入り
宿屋ばばぁ(笑福亭福笑
仁鶴・鶴光に続く六代目松鶴の三番目のお弟子さん、そのアナーキーかつパワフルな高座はいつ見ても飽きません。昨年暮れの史上最狂の笑福亭で聴いたネタ、いやぁ無条件におもしろい。宿屋の客室で、湯飲み茶碗の周囲がべちゃべちゃ「はてな・・・」と、中入り前のネタをパックって大受け、21分。
千両みかん(桂米二)
暑い土用の大阪を舞台に、真夏にあるはずのないミカンを探し求める番頭の苦労の成果と、悲劇的な結末。夏の暑さで頭が沸くと、冷静な判断力が失われて狂気の淵へ。みかん問屋でみかんをチェックする間に、3月11日の東京での自身の体験を織り込んだのは独演会ならではのサービス。米二さんでは初めて聴きましたが、本日の秀逸、37分。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.