京の噺家・桂米二さんの一門会、数えて8回目が行われました。京都で行われる一門会へは皆出席、ホームグラウンドの京都府立文芸会館3f和室はほぼ満席。これまでは米二・二乗それぞれ二席ずつでしたが今回は二乗君が一席減、その分時間が短縮されて(とは言え2時間35分は決して短くありませんが)私としては有り難い。明るいうちに自宅へ戻り、記事を書くことができるのですから。写真は仲入り後の無礼講トーク、例によって仕切りの下手な二乗君に師匠がイライラ、二葉ちゃんはマイペース、誠に観ていて飽きない一門であります。
- 桃太郎(桂二葉)
- 3年の年季明け後に挑戦したのがこのネタ、私は初めてですが、それ以上に初めて二葉ちゃんの「マクラらしいマクラ」を聴くことができました。桃太郎に入るために子どもの話題を振るわけですが、自分のアパートの向かいに住む小学3年生との交流エピソード、今どきの子どもの姿を紹介してから本編へ。もちろん、決して上手ではありません。しかし、登場した瞬間から客を微笑ませる彼女自身の雰囲気と、「二葉ワールド」としか表現できない稚拙だけど引き込まれる話しぶり。いやぁ、私は好きですよ、このまんまず〜っと突き進んで欲しい存在です(17分)。
- 向う付け(桂米二)
- 今日のお目当てはこれ、何しろ旧米朝全集に収録されていなかったものが今度の改訂版に採用されたのです。米朝自身のラジオ音源が新しく見つかったからですが、詳細については米二さんのブログをお読みください。隠居の葬儀の受付を無筆二人が担当する、窮余の一策として来客自身に記帳させるのですが、「なるほど、参会者の筆跡を残すとは大した遺言」との誤解で話は進み、最後は遅れてきた無筆の参会者が現れて・・・。米二さんの解説では、現在このネタをやるのは笑福亭仁鶴の型だと。私自身、仁鶴の話は絶対聴いているはずなのに思い出せません。是非とも音源を捜して、聞き比べしてみたいと思います(29分)。
- くっしゃみ講釈(桂二乗)
- 相変わらずマクラが下手(^^)。いつものことですが、登場人物の描き分けが出来ているようで、その実みな同じような声の高さ・強さの喋りとなって単調に聞こえ、結局眠気を誘ってしまうのです。ハンカチで隠してはいましたが、多分欠伸と気づかれたでしょうね、ごめんなさい。ご本人の弁によれば、師匠のこの噺を聴いて弟子入りを決めた想い出のネタとか。もう一工夫して、ある意味手抜きを覚えれば随分と良くなると思うのですが、どうでしょう(31分)。
- 仲入り
- 無礼講トーク
- 二乗君の仕切り下手を見越してか、米二さんが前日にSNSで募集した質問に答える形式のトーク。師匠に言われて嬉しかった一言は、という質問にそれぞれ答えてはいましたが、師匠自身は「覚えていない」と。結局、お酒の席での話なのですが、酔っ払っているときこそきらっと光る発言ができる、妙に親近感を持ってしまいました(12分)。
- 猫の忠信(桂米二)
- やはり上方落語の魅力はハメモノ入りの話、浄瑠璃ネタで浄瑠璃こそ出ませんが、最後の猫の台詞は聴かせ処。加えて事情を説明し、最後に親の三味線を示すまでの所作も大事。今日の米二さん、よかったですよ。個人的に情けなかったのは、千本の通しの各段を言い立てるときにすぐには文楽の場面や情景が浮かばないところ、ここらは私の勉強不足。本日の秀逸でした(39分)。