京都・らくご博物館【秋】〜紅葉寄席〜 vol.23

「らくご博物館」、決して落語を展示した博物館があるわけではありません、博物館で開催される落語会なのです。京都国立博物館が主催するこの催し、今回が数えて23回目、年4回ですから6年になるのですね。前回伺ったのが2007年10月26日のこと、私にとっては2年ぶりということになります。ただし、会場となる京都国立博物館は現在工事中、ここ数回は七条通を挟んで南側にあるホテル・ハイアットリージェンシー京都での開催となっています。2年前までは毎回ほとんど満席で立ち見が出るくらいでしたが、昨晩は以外と空席が多かったという印象を持ちました。やたらと座席を増やしたと言うこともないでしょうし、やはり博物館で開くことに意味があるのかな。ま、それはともかく、近頃はブログ更新もままならぬほど余裕のない日が続いていたので、いい気分転換となりました。

 今夜の番組は次の通り。

田楽食い(桂佐ん吉)
故吉朝師の6番目のお弟子さん、何度か聴いたことはあります。このネタは「運回し」、つまり「ん」のつく言葉を言い立ててその数だけ田楽をもらうというもの。口さばきの練習にもってこいのネタで、前座さんにはいい勉強になります。演者それなりに工夫をするわけですが、「かぼちゃ」→「とうなす」→「なんきん」と持って行くところに「パンプキン」を入れたり、レタス・ブロッコリーなどのカタカナをだいぶ入れ込んでいました。入門して8年、まずは10年を目標に地道な稽古を望みたいですね、15分。
花筏(桂出丸)
ざこばさんの3番目のお弟子さん、近頃は噺家さんもご自分のドメインを取る方が出てきました。この方の噺を聞いたことがあるのかどうか定かではありませんが、もう24年のキャリア、すっかり中堅どころですね。そのくせ軽めのキャラクターなので若く見えるのは、噺家としてはどうなのか。ご本人もかなりの相撲好きということですが、提灯屋の職人が大関に化けて地方場所へ乗り込む噺。出来は悪くなかったと思いますが、いかんせん、細見の身体で首筋を真っ赤にしての喋り、最前列の私は見ているだけで力が入ってくるようで、いささか疲れました。そういえば、同じ相撲ネタでも「相撲場風景」を聴いていません。近頃はやる人が少ないのかな、30分。
交通安全(桂小米)
いまや米朝一門ではざこばさんに次ぐベテラン、驚いたのは、声が全く出ない。ご本人によれば、今夜が今年最後の仕事で治療に専念するとか。噺家さんにはポリープは職業病ですが、それとも違うようで、少し心配です。ネタはオリジナルの老人向け交通安全キャンペーン的落語、高齢者の多い会場ではよく受けていました。ご回復を切にお祈りする次第です、17分。
阿弥陀池(笑福亭銀瓶
笑福亭鶴瓶のお弟子さん、初めて聴きました。入門して21年と言うことですが、なかなかの器量ですね。高座に上がって頭を下げて、顔を上げて客席を見る瞬間、どっしりとした安定感を感じました。ネタはおなじみのものですが、正攻法の古典落語、途中であまり遊ぶこともなくちゃんとサゲまで運んでいきます。これは、続けて聴いてみたい噺家です、本日の秀逸、29分。
替わり目(桂米二)
トリは米二さん、今夜は私の大好きな噺。米朝一門のスタンダードな演出、こういう噺は飽きが来ません。この噺を聞くと、ついつい日本酒を飲みたくなりますね、もちろん燗で。帰宅後は当然のことながら、いただきました。大人の仕事で、34分。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.