三三・吉弥ふたり会@天満天神繁昌亭へ行ってきました

 柳家三三という噺家が気になったのは、映画・小三治を観たときのこと。映像内のほんの短い時間のコメントでかつ内容は忘れてしまったのですが、若いにもかかわらず、その存在感にビビッときたのです。初めて聴いたのは、昨年春の府立文化芸術会館でしたね。昨年末にはテレビの情熱大陸を拝見し、テレビ番組であることを割り引いても、落語に取り組む彼の姿勢と日常にはそれなりに感じ入ったことでした。吉弥さんが「兄さん」と読んでいたので「おや?」と思ったのですが、三三さんが1974年生まれの93年入門、吉弥さんが71年生まれの94年入門。なるほど、実年齢では吉弥さんが3年先輩ですが、入門は三三さんが1年8ヶ月早いのでこの世界では先輩になるのですね。二日公演の二日目でしたが、通して聴かれた方も多かったことでしょう。プログラム掲載の小佐田定雄さんの解説のタイトルは「凸凹ふたり会」、なるほど外見も芸風も言い得て妙、互いに競い合ってより一層精進してほしいものです。

 昨晩の番組は、次の通り。

時うどん(桂弥太郎
入門して一年強、吉弥さんの最初のお弟子さん。開口一番ですが、まだ大阪弁のイントネーションが十分身についていませんね。しかし、なかなか面白い空気を持っておられますので今後が楽しみです。お馴染みのネタですが、上方でお馴染みの喜六・清八の二人連れではなく、一人の男がうどん屋をだますのをよそから見ているという、時そば風の演出でした、13分。
お玉牛(桂吉弥
私にとってこのネタはまず三代目春団治、そして弟子の春蝶(もちろん先代ですよ)、つまり、春団治一門の噺というイメージがありました。生で聴いたのはずいぶんと久しぶりだと思いますが、近頃はいろんな方が演られるのでしょうか。若い娘の寝所へ夜這いを掛けると、そこには牛が寝ていたという噺。牛のしっぽをお下げと間違え、触りすぎて尻尾で顔をはたかれたり、牛の角を笄(こうがい)と間違えて触るなど、暗闇の中で進行するその仕草が面白い。やはり、三代目の艶っぽい所作が懐かしいですね。当夜の吉弥さん、少し目つきがいやらしくてちょっとひいてしまいました、20分。
橋場の雪(柳家三三
寒い時期に合わせて雪の情景を取り入れた噺、夢をキーワードとするもので聴いているうちに後の展開は予想できますが、十分に楽しませていただきました。若旦那の夢の噺に嫁が悋気するというものですが、他に幇間・丁稚・若後家・親旦那と登場人物が多彩で場面展開も多く、やはり力量の要る噺ですね、33分。
中入り
真田小僧(柳家三三
二席目はこどもが登場して「初天神か?」と思ったのですが、真田小僧でした。親父が三ヶ月かかって覚えた講釈ネタを、息子がその場で立ち聞きして覚えてしまいます。利口かつ生意気、それでいてこどもの可愛らしさを忘れない…、ポピュラーなネタですが、かえって演者の落語観が際立つネタ。二日目の最後でいささか気が抜けたのか、数カ所かんでいたのがかえって可愛く思えました、22分。
猫の忠信(桂吉弥
プログラムの解説によれば、二週間前にネタおろししたばかりだとか。そのせいか、常吉が稽古屋へ出向く前、女房に戸締まりを命じる台詞が飛んでしまいました、36分。

投稿者: myon

このブログの管理人は,京都の下町に住み,大阪の女子大に勤務するお気楽オジサンです.通勤車内の読書記録・上方落語鑑賞メモ・料理食べたり作ったり・同居猫ココの日常などを主なコンテンツとしています.